廻りだす風車

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俺がメロンパンを食べている間、桜はずっと俺を見ていた。 何が面白いのかわからないが、とても楽しそうに笑っていた。 「お兄ちゃん。病院にいると退屈じゃない?」 俺がメロンパンを食べ終えるなり言ってきた。 「まぁ、退屈っていえば退屈だけどさ…」 「だよね!!じゃ、じゃあさ毎日来てあげるよ」 「え?いや、悪いよ。俺のために良くしてくれるのは嬉しいけど、桜の時間をとってまでしてもらうのはちょっと…」 「い、いいの!私がしたいの!」 いつになく真剣な桜。俺は、何を言っていいのかわからなかった。 「わかった。桜が、そうしたいならいいよ」 毎日来なくてもいい。そう言おうと思っていたのだが、俺は諦めた。 桜は桜なりに心配して何かしたいんだ。その気持ちを無下にするのは悪い気がした。
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