失われたもの

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「分かったわ。今日は、もう帰るね。明日、また来るから」 「…じゃあね、お兄ちゃん」 俺に気を使うように二人は病室から出ていった。 「最低だな…俺」 もう運動が出来なくなったのは母さんのせいじゃない。 俺の不注意が招いた結果なのに… 「くそっ…何でだろ?」 今頃になって涙が出てきた。 「うっうっくぅ、止まれよ」 その日、俺は失ったものの大切さを知るとともに、世界の理不尽さを知った。
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