複雑な風車

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「今日は、ありがとう。美鈴ちゃんたちがいたから楽しかったよ」 そう言ってお婆ちゃんやお爺ちゃんたちは各々の病室に戻っていった。 全員が戻ったので、俺も部屋に帰ろうと車椅子の車輪にてをかけた時に美鈴が呟いた。 「ねぇ、遥斗くん。私、思ったんだ。死とはなんだろうって」 「美鈴?」 「あっ、ごめんね。ただ、さっき話したお婆ちゃんが言ってたんだ」 美鈴は今までに見たことのない顔をしていた。 「そのお婆ちゃん、医者に余命1ヶ月って宣告されたみたいなの」 「…うん」 「それでね、そのお婆ちゃんは笑ってたの。死が怖くないとか、そういうのじゃなかった」 「美鈴、今はいいから。部屋に戻ろう」 今の美鈴は精神的に参っている。 何か焦っているような、多分だが美鈴は俺に話せない何かで悩んでいる。 そんな美鈴の精神的状態では、こんな話は良くない。
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