1442人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところでさ・・・、ちょっといい?」
僕は家を出てから、気になっていた事があり静かに尋ねた。
「ねえ静、それなに?」
僕は静が背中にせおっている、まるで『今から旅行に行くんですよ。』と言わんばかりのバッグを指差した。
「えっ、旅行用のバッグだけど。あんたも持ってるじゃない。」
「いや、僕は今から旅立ちだから・・。」
「うん、私も。」
「どこへ?」
「それはあんたが決めなさいよ!」
「・・・・・。」
ついてくる気か!?
まずい、こんな蝿女を連れていたんじゃ僕のウフフでワンダホーな旅が駄目になる。
危険を察知した僕は慌てて静の説得を始めた。
「何を考えてるんだ!とても危険な旅なんだよ!!」
「うん、守ってね。」
「あまり楽しくないかもよ。」
「うん、盛り上げる。」
「洞窟とか行くだろうし、危険だよ。」
「うん、飛ぶし。」
・・・・・。
ダメだ、何を言っても無駄な気がする。
既に旅立ちモードの静に何を言っても聞きそうにない。
僕は姉さんの手助けを求める事にした。
「姉さんからもなんか言ってよ!」
「いいじゃない、あんたが守ってあげたら。魔王になるならそれくらいできないと。」
「でも!!」
ガシッ!!
再び詰め寄る僕の頭を突然姉さんがわしづかみにした。
「ほら・・静がいると姉さんがいきおくれちゃうじゃない・・・ねえ?」
優しい声とはうらはらに姉さんの手は万力のように僕の頭を締め付けた。
「・・・うぃ。」
生き急いだ僕は全てを受け入れた。
最初のコメントを投稿しよう!