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「ねえ・・・、大丈夫?」
「うぃ・・・。」
「なんか出てるよ?」
「うぃ・・・。」
破壊の権化とかしたフラウ姉さん。
僕はかろうじて耳から汁を出してしまうレベルで難を逃れた。
まあ、話す事が出来て、歩く事が出来るだけで奇跡だが。
ちなみに姉さんは『流水を止めるには八っつの門を閉めなければ!』とカルティーな事をのたまい暴れている。
僕と静はそんな姉さんを止めるなんて愚行は考えず、さっさと船乗り場へと向かった。
「うわぁ、人がいっぱいだねアレフ♪」
辺りには僕と同じ卒業生とその家族、そして卒業生の出航を見ようとする街の人達でごった返している。
「ああ、なんせ年に1度のイベントみたいなものだからね。もしかしたら、この中から魔王が生まれるかもしれないし。」
そう、僕は必ず魔王になる。
魔王アカデミーに入って10年。
僕は1度も出航式には来ていない。
必ず卒業すると決めていたし、出航式には卒業生として参加すると決めていたから。
ようやく念願叶った卒業、そして出航式。
僕の旅立ちはいまここから始まる。
「おお~い、アレフ!!」
「ん?」
騒がしい人混みの中、僕を呼ぶ聞き慣れた声が聞こえた。
声のした方を見ると眼鏡をかけた野暮ったい感じの男性が笑顔で近づいてきた。
「スカル先生!」
僕のアカデミーの担任であるスカル先生が手を振りながら現れた。
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