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「あら、スカル先生♪」
姉さんはスカル先生を見るなり1オクターブ高い声で話しかけた。
「アレフが卒業出来たのも先生のおかげです。ありがとうございます。」
そう続けて姉さんは深々と礼をした。
「いえいえいえっ!!!!そんなそんなそんな!わっ!わっ!私はなな何もしてないでせっ!!!あっ!アレフ君が頑張ったおかげ様でせっ!!!!」
でせ?
姉さんは先生のそんな様子を見ながら不思議そうに首を傾げている。
先生がこんな風に姉さんを意識しだしたのは約一年前から。
ある日、ばったりと街中で僕と姉さんに出くわしたスカル先生。
「あっあっあっ!!!お久しべりです!!!ききき、今日はおおお買い物でせかっ!!!!」
突如、姉さんに凄いどもり口調で話しだした。
スカル先生が立ち去ってから「どうしたのかしら先生。」と今日みたいな不思議そうにしていた。
まったくもって鈍感な姉さん。
僕の5回目の留年が決まったあの日。
気づいたら集中治療室にいた僕。
何日か経ち無事病室へ移動になった時、同室に全身包帯姿のスカル先生がいた。
「あれ、先生?」
「(プイッ)」
「??????」
先生はそのまま顔を背けたあと、退院するまで話してくれなかった。
後日、他の先生から『8つの門』を開けた状態の姉さんが暴走して学校に乗り込んだ事を聞いた。
ポンッ。
「先生、まだ怖いんだね?」
僕は優しくスカル先生の肩に手を置いた。
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