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『まもなく当船は出航致します。アカデミー卒業者は速やかにご乗船ください。』
今までの思い出を話し合っていた僕達に乗船を促すアナウンスが聞こえた。
「・・じゃあ、そろそろ行くよ。」
僕は2人にそう告げて荷物を背負った。
「アレフ、身体に気をつけてね。」
「うん!」
「頑張って魔王になるんだぞ。」
「はい!」
「おばちゃん、アレフ君のフランクフルト食べたかったわぁ。」
「はい?」
ひとり訳の分からない言葉はあったが、二人からの激励を受け僕は乗船へのタラップに向かった。
「いよいよだね♪」
「・・うん。」
何故か当たり前のようにいる静に応えた僕は、続々と船に乗り込む卒業生と一緒に進んだ。
そしてたいした段数ではないがタラップを一段一段踏み締めるたびアカデミーの思い出が蘇ってきた。
『先生、宿題を持ってくるの忘れました。えっ、ちゃんとやってますよ失敬な!!えっ・・、家にくる・・・、すみませんやってませんでしたああああ!!!!!』
『先生、アレフ君を生理的に受け付けないので席を変えてください。』
『アレフくん、来年も頑張ってね。』
『先生、アレフくんがうんこ漏らしました。』
『ゴメン、アレフくんは友達としか・・。いや、友達としても見れない。』
「・・・・・。」
まるで絞首刑になった気持ちで僕はタラップを登った。
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