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船内に入った僕達は他の卒業生に続いて客室へと向かった。
船内は客室を挟むように縦に3本程長い通路が伸びており、各部屋のドアに名前が書いた紙が貼ってあった。
他の卒業生は自分の名前が書いてある部屋に入っていく。
僕と静も自分の名前を捜す。
・・・。
「無い・・・。」
どこを探しても僕の名前がない。
アイウエオ順に紙は並んでいるのが『アリクイ』、『アローン』と書かれた間にあるべきはずの名前がない。
『人間だもの』
間違いはあるよねっ、という事で他もくまなく探したがどこにも無い。
新手のいじめか??
不安になった僕は栞を改めて見た。
『ドッキリ大成功』の文字を探したがどこにもない。
念のため舐めてみたが無味。
若干の塩味にスカル先生の手汗がよぎり吐きそうになったが別に変なところはない。
じゃあ船員の手違い?
そう結論づけた僕が船員を捜そうとした時、静の遠くから呼ぶ声がした。
「アレフ~、ここだよ~!!」
そう呼ぶ静に僕は急いで駆け寄った。
静が居たのはちょうど船内へ入る入口付近。
そこには『特別室 アレフ=シュタット』と僕の名前がある。
「なんだ、あるじゃないか。」
僕は静に微笑みながら、ゆっくりとドアを開けた。
・・・・・。
物置部屋だった。
・・やばい、泣きそう。
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