旅立ち

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補欠? 僕は老人からファイルを奪い取り、再度自分の名前を確認した。 そこには紛れも無く赤々と大きく補欠合格と印が押されていた。 合格じゃないのか? 脳裏に昨年姉さんにやられた記憶が蘇る。 ブルブルと恐怖に震える僕。 するとうずくまって震えている僕の肩を誰かが叩いた。 顔をあげると、とても優しい顔をした老人がいた。 「補欠合格と聞いて辛かったのかの?そんなに落ち込む事はない、合格には違いないんじゃから。」 「じじい・・。」 さっきまであんなに酷いことを言った僕に対してこんなに優しくしてくれるなんて・・。 絶対になにか裏がある!! 僕はそう確信し問い詰めるためじじいの胸倉を掴んだ。 「ヘイYOU!!ウチのキャプテンに何シテンダYOU!!」 気づいたら周りを屈強な船員達が取り囲んでいた。 「いやあ、襟が汚れてたんで・・・。」 「HuuuuuN!!」 ええ、ぼっこぼこにされましたよ。 ボオオオォォォ!! 船から鳴り響く出航の合図を聞きながら、僕は姉さん達に別れを告げられぬまま生まれ故郷を旅立った。
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