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「さあて朝ごはん♪朝ごはん♪」
冒険用の服に着替え、荷物を持った僕は朝食の用意がしてあるキッチンへと向かった。
「ちょっと待ちなさいよアレフ!」
後ろから猛スピードで妖精の静が飛んできた。
ゲシッ!
「痛っ!!」
静はそのまま勢いに任せて僕の顔にドロップキックをお見舞いした。
「あんたねぇ、レデイの準備は時間かかるんだからちょっと待ちなさいよ!!」
・・・いつもこれだ。
大体、化粧もしないし服を着るだけなのになんで時間がかかるんだよ。
前に問いただしたが『野暮な事を聞かないの!』と反論された。
「・・・悪かったよ。」
渋々そう答える僕を満足そうに静は見つめ「わかればいいのよ♪」と上から目線で言った。
彼女は妖精の静。
僕が生まれてからずっと一緒にいる。
どうやら父さんの知人らしいが何故か僕の家に住み着き、とりわけ僕になついており同じ部屋で生活している。
「なんだかフイーリングが合うのよね。」
とは彼女の談。
小さい『い』が上手く言えない静。
まあ自主練中は席を外してくれたり、気をつかってくれるので別に困ってはいない。
「ところで朝ごはんは何かな?」
確かにそれは気になるところ。
昨晩は出発ということもあり、かなり奮発していた。
「そりゃあ最後の食事だからね、手の込んだ料理じゃないかな。」
正直、姉さんの料理は美味い。
いつも手が込んでいる。
僕達はワクワクしながらキッチンに向かった。
キッチンでは既に料理が準備されており、姉さんは僕達の顔を見ると笑顔で迎えた。
「あっ、アレフ。最後の朝食だから、アレフが1番好きな料理を用意したわよ♪」
食卓には山盛りの『豚足』が並んでいた。(普通、朝食では出ない)
「・・・・・。」
僕は旅立ちの爽やかな朝、豚の足を貪り食った。
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