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「父さん母さんに挨拶は終わった?」
「うん、終わったよ。」
家の戸締まりを終えた姉さんが背後に現れた。
僕は姉さんに応えながら道具袋を持って立ち上がった。
「じゃあ、行こうか。」
「うん。」
僕は姉さんにそう言って、出発地点である港へと向かった。
僕達がいるこの『ノックタウン』は四方を海に囲まれた大きな島にある。
その昔、魔王が住んでいた城がこの付近にあり、その名残りでこの島には魔族が集まり、魔族だけが住む町ができた。
ちなみに世界中にこういった町が各地にある、だがアカデミーのある街は世界で4つだけである。
「船なんて初めてだからすごく楽しみだよ。」
僕は今から新たな旅立ちを夢見ながら、ワクワクした気持ちでいっぱいだった。
「あらっ、アレフ君今から出発?寂しくなるわねえ。」
近所のおばさんがいやらしいねっとりとした瞳で見つめてきた。
佐藤健にそっくり(自称)だと言われている僕だから見とれるのは仕方ないが・・。
「・・うん、行ってくるよ。」
僕は精一杯の愛想笑いを浮かべ、それ以上会話を続けないよう足速に港へ向かった。
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