殺意の霧

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 さっきまで明るいぐらいに月も星も出ていた筈だ。  周りを見渡してみる。  鬱蒼と繁る木立。見知らぬ風景に加え視界が極端に狭い。  なんだか少し赤い気がする……。  風景がではなく、空間そのものが赤味を帯びている感じだ。  なんだかヤバい気がする。  自分の鼓動が小刻みになり、身体が外から内臓に向かい冷えていく感じだ。  だが頭がうまく回らない。  逃げなくてはいけない気がするのだが、まるで脳みそに麻酔を打たれたように体だけが勝手に動いていく。
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