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「早く帰ろう。……あいつがまた寄ってくる前に」
「えっ?」
今の和成の言葉でさっきまでの朦朧としていた自分を思い出し、寒気を覚えた。
「達也?」
「……なんだ?」
和成が俺の顔を見ずに喋りかけてきた。
俺も和成の顔を見ないで応えた。
「後ろは向いちゃだめだよ」
そこで俺は再び足を止めた。
見覚えのある風景……。
ザワザワと枝を揺らし不気味な旋律を奏でる木々が立ち並んだ獣道……。
声のした場所……。
あの先には沼があったんだ。
急に怖くなって、和成と並び帰り道を急いだ。
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