ギャップある世界

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必死にマニュアルを読んでいると、また例のあの言葉が聞こえてきた。 「おざっす!おざっす!」 社長のお出ましであった。 年は20代前半。 肌は色黒であやしい金縁のメガネをかけている。 背格好は僕より小さく、しかしながらどこかオーラを持った人だった。 片手にヴィトンのバッグ。 そしてもう片手になぜかアタッシュケースを持っていた。 社長は部屋に入ってくるなり「藤田!コンビニいってヤンジャンと飲みもの買って来い!」 「はい!」 そういって立ち上がったこの男、先ほどから誰よりも熱心に電話をしていた男だ。 「社長!飲み物は何が宜しいでしょうか?」 その問いかけに社長は蔓延の笑みでこう答えた。 「センスで♪」
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