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「君は、時間を戻せたらなにをしたいかな」
サンジェルマンが、急にそんなことを聞くので私は笑ってしまった。
「タイムマシンってこと?」
「まぁ、そんなものかな。だけど時間をさかのぼるのにあんな機械はいらない。…おっと。それで、君はなにがしたい?」
サンジェルマンがあまりに真剣な顔をするので、今度こそ私も真面目に考える。
時間をさかのぼれたら。
私はいつもひとつだけ、心残りなことがあったのを思い出した。
小学生の夏休み。おばあちゃんの家。
その当時流行っていた魔法使いの映画(確かタイトルは『魔法使いと金のすず』)を観にいこうと、おばあちゃんと約束したのだ。
お母さんが迎えにくる一日前だった。
それが結局、私が寝坊してしまって行けなかったのだ。
今思えば、おばあちゃんと過ごした最後の夏休みだった。
あれから、おばあちゃんは壊れてしまったから。
もし1日だけ戻してくれるなら。
私は、あの夏の日へ戻りたい。
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