プロローグ

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陰り一つないどこまでも続く闇色の空には、数え切れんばかりの数多の星が瞬いている。 数多。 それは人の出会いもそうであって、出会いは星空のようだと、あんたは言った。 光が強い星もあれば弱い星もある、強弱のついた星は、出会い関わりの深さと似ていると。 関わりが浅ければそれは光の弱い星。 関わりが深ければそれは光の強い星。 そう言われれば星と人の出会いに関係は、似ているもんだと思ったけど。 だが、深い関係なんて早々築けるもんではない。 人は誰しも、知られたくないもんを抱いている訳であり、その深淵部に踏み込まれるのを恐れ隠す。 それに、拒絶され傷つくのを恐れ、人に踏み込むのを躊躇する人だっている。 何もかもを知り尽くした深い関係なんて、世界を滅ぼす事より遥かに難しいもんだと、あたしは思う。 皆は、友と呼べる相手の事をどれくらい知っているだろうか? あたしは、長年共に命の場面を越えてきた奴のことさえ、深くはきっと知らない。  
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