出会い

2/12
前へ
/20ページ
次へ
「徹哉ー!!早く起きないと遅刻するわよー!!」 ふぁ~。 母の怒鳴り声、大きな欠伸。これがいつものパターン。 顔洗って、飯食って 「今日から二年生でしょ。少しは変わりなさい。」 「へーへー。いってきまーす。」 「はーい。気を付けるのよー」 バタン。 玄関の戸が閉まる。 んーー!! 背伸びをする。 「今日もいい天気だ。」 学校についた。 グラウンドの隅にもの凄くでかい桜の木がある。 1年の後期から天気のいい日の休み時間に休む場所になった。もう1つの休み場所が屋上だ。 「いつ見てもでかいな。」 見ていると、桜の木の前に立つ1人の女子生徒が目に入った。 「珍しいな。」 確かにきれいで大きい桜の木だから見るのもわかるが、あんな清楚な感じの子がこの桜を見ているとこ見たことがない。 時計を見る。 「やべっ、時間がない。」 走って新しい教室に行く。 教室に入ると、去年と同じ人もいたり、初めて見る顔もいた。 キーンコーンカーンコーン。 タイミングよくチャイムが鳴る。 「はーい。席つけー!」 そう言って入ってきたのは、去年と同じ担任の高橋だった。 ・・・一緒かよっ。 心で呟く。 「えー今日から、この2年5組の担任をします、高橋です。まぁ去年と同じやつもいれば違うやつもいるかな。まぁ、よろしく。それから─」 喋り出すと止まらなくなる。 先生の話を聞き流し、教室を見渡す。 すると、窓際の一番後ろに座っている女の子に目が止まる。 徹哉は言葉を失った。 髪は肩にかかるくらいで、目がぱっちりで、大人しそうな子だった。 あんな可愛い子がこの学年にいたんだ。知らなかった。 「おいっ!大島!人の話を聞いているのか!?」 現実に戻される。 「あ、はい。聞いてます」 また彼女を見る。 なんだ、この感じは。 徹哉には初めての経験だった。 そう。一目惚れだった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加