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「徹哉ー!!早く起きないと遅刻するわよー!!」
ふぁ~。
母の怒鳴り声、大きな欠伸。これがいつものパターン。
顔洗って、飯食って
「今日から二年生でしょ。少しは変わりなさい。」
「へーへー。いってきまーす。」
「はーい。気を付けるのよー」
バタン。
玄関の戸が閉まる。
んーー!!
背伸びをする。
「今日もいい天気だ。」
学校についた。
グラウンドの隅にもの凄くでかい桜の木がある。
1年の後期から天気のいい日の休み時間に休む場所になった。もう1つの休み場所が屋上だ。
「いつ見てもでかいな。」
見ていると、桜の木の前に立つ1人の女子生徒が目に入った。
「珍しいな。」
確かにきれいで大きい桜の木だから見るのもわかるが、あんな清楚な感じの子がこの桜を見ているとこ見たことがない。
時計を見る。
「やべっ、時間がない。」
走って新しい教室に行く。
教室に入ると、去年と同じ人もいたり、初めて見る顔もいた。
キーンコーンカーンコーン。
タイミングよくチャイムが鳴る。
「はーい。席つけー!」
そう言って入ってきたのは、去年と同じ担任の高橋だった。
・・・一緒かよっ。
心で呟く。
「えー今日から、この2年5組の担任をします、高橋です。まぁ去年と同じやつもいれば違うやつもいるかな。まぁ、よろしく。それから─」
喋り出すと止まらなくなる。
先生の話を聞き流し、教室を見渡す。
すると、窓際の一番後ろに座っている女の子に目が止まる。
徹哉は言葉を失った。
髪は肩にかかるくらいで、目がぱっちりで、大人しそうな子だった。
あんな可愛い子がこの学年にいたんだ。知らなかった。
「おいっ!大島!人の話を聞いているのか!?」
現実に戻される。
「あ、はい。聞いてます」
また彼女を見る。
なんだ、この感じは。
徹哉には初めての経験だった。
そう。一目惚れだった。
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