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場転・街角
リヒト(M)「慣れねー研修っつったって、士官学校に比べたらちょろいもんだ。怒鳴られねーし殴られねーし。リヒトさんは優秀だし」
リヒト「問題は夢遊病者の件なんだが……」
ブラダ「その派手なピンク頭、見つけやすくていいわね」
リヒト「あ? あ。ハニーの機嫌直ったのか?」
ブラダ「それ以外の用件で、アタシがアンタに会いに来たことがあって?」
リヒト「オレはアンタぐらい美人なら、いっしょに朝飯食うのだって歓迎するんだけど――」
ブラダ「約束は果たしたわよ。下品な口を閉じて金を出して」
リヒト「チッ、色気のねー奴」
リヒトが金を渡す
ブラダがルガーを渡す
ブラダ「自分に落ちる女は嫌いなくせに。じゃあね、」
リヒト「……ちょっと待った。アンタいつもは修理たのんでも、オレが取りに行くのバーで待ってんだろ。なんで今日はオレんとこ来たんだ?」
ブラダ「あら知らないの? バーはこのあいだ、タチの悪いジャンキーが大暴れして、しばらく営業できないのよ。だからわざわざ来てあげたの」
リヒト「薬物中毒……?」
ブラダ「今さらめずらしくもないことだわ。あんまり聞かない名前の――カフカだったかしら――クスリだったけどね」
リヒト「知らないクスリだ。その名前はだれから聞いた?」
ブラダ「女の子よ。そのジャンキーの知り合いとか言ってたわね。怖がりもせず暴走を止めたと思ったら、なんだか深刻な顔で、
“この人はカフカ中毒なんです。壊したものは弁償するから、ゆるしてください”って」
リヒト「変な話だな」
ブラダ「そうね、ジャンキーは中年の大男だったけど、女の子はまだ14歳くらいだったから驚いたわ……カフカのことも詳しいし」
リヒト「詳しい?」
ブラダ「カフカは幸せな夢を見るおクスリ、だそうよ」
リヒト「…………。夢、ね」
ブラダ「……その子ノノンって名乗ったわ。カルマ街に住んでるそうよ」
リヒト「……それは」
ブラダ「もう用はないわね。今度こそまたね」
リヒト「……ああ。ありがとな」
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