第一章

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リヒト(M)「ストリップバーで暴れたジャンキー、それを止めた子ども……夢見るクスリ、カルマ街の夢遊病者……。 自信もって関係あるとは言えねーけど、調べてみっか」 リヒト「―――クスリだけは、胸糞悪いんだよ」 場転・カルマ街 リヒト(M)「相変わらず趣味のいい匂いがする場所だな。そういやこここそジャンキーの巣窟じゃねーか。 ……しかしなんだ、今日はやたらと人が少ねえ……」 ノノン「――ピンクのお兄さん、傘は持っているの」 リヒト「……は、え、傘?」 リヒト(M)「誰だ?」 ノノン「もうすぐ雨が降るよ」 リヒト「それはご忠告どうも……酸性雨が降るんだったな、ここは」 ノノン「酸性雨は怪我をするから、気をつけてね。わたしは浴びたことがあるもの」 リヒト「あんのかよ」 ノノン「誰かが――酸性雨の日にわたしを外へ出して、その危険を教えてくれたの。これからわたしが気をつけられるように。 とても親切なその人が誰だったか、あんまり覚えていないんだけれど」 リヒト(M)「教えてくれたっつーかそりゃ騙されたの間違いじゃねーのか……?」 ノノン「……お兄さん、あなたは誰も好きじゃないのね」 リヒト「は?」 ノノン「未来の人間は、かみさまみたいなものだよ」 リヒト(M)「ああ? なに言ってんだこいつ、いきなり。なんか首にじゃらじゃら鎖巻いてるし……頭のネジでもゆるんでんのか? こえー」 ノノン「でもお父さんは、かみさまではないわ」 リヒト「――! アンタ、」 リヒトがノノンの胸ぐらを掴む リヒト「5年まえの、」 ノノン「髪の色」 リヒト「……え?」 ノノン「ピンクにしたんだね。金髪も似合っていたけれど」 リヒト「……アンタ、なにを知ってる……?」 ノノン「――あ、雨だ」
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