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イェシカ(M)『こっちを見てって、……言えなかったんだ』
イェシカ『とうさん!』
イェシカ(M)『赤い火、赤い軍服。ゆらめく影さえひどく遠い、父親の背中。
あのひとたちみたいに、夢のなかに生きることをえらぶの。
言わなければよかったんだ、こんなことになるのなら。
リボンのついたプレゼントも生まれてきた日のキスも、眠れない夜の子守唄も、オレはまだ知らない』
イェシカ『なにを、なんで、……逃げないの……』
イェシカ(M)『赤い火、赤い髪。化粧をして、きれいな服を着て火をつけたのは、かあさんとねえさん。
オレのしあわせオレの愛、オレのつながり、帰る場所。
どれだけでも奪ってかまわないから、気づけないところで泣かないでくれ。
ほんとうは森なんか、どうなったってよかったんだ』
ユリアン『父親だ――それでも』
血まみれのユリアンが、イェシカの腕を引く。
イェシカ『いや、……いやだ、いやだつれていくな、オレを助けるな、えらぶのはオレだ!』
ユリアン『あれは君の父親だ』
イェシカ(M)『ああ、ああ……ああ。バカだなオレの、』
リヒト『――エンディア』
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