第一章

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場転・ストリップバー。 リヒト『……チッ、あいかわらずッセェなここは……』 ストリッパー(エキストラ女)『あん、リヒトいらっしゃい! まぁたブラダに会いに来たの? たまにはアタシのピンクサービス受けてみない?』 リヒト『あー。オレ、自分より体脂肪多いオンナは守備範囲外だから。あと10キロ痩せたら付き合ってやるよ』 ストリッパー(エキストラ女)『んなっ、』 リヒト『――あ、いたいた、ブラダ。よお、久しぶりだな。オレのハニーがめちゃめちゃ機嫌悪ぃんだけどよ、ちょっと見てくんねぇ?』 ブラダ『アンタだれ? 坊やには悪いけど、出会い頭にのろける知りあいはいないわ』 リヒト『ちょ、そりゃあねぇよ。アンタだってオレのハニーに会いたかったんだろ?』 ブラダ『……今日は髪ピンクなのね。似合うあたりが怖いわ』 リヒト『はん、惚れるなよ』 リヒトがジッポを弾く。火がつかない。 リヒト『火がつかねー……Scheise(シャイセ)』 ※意味・畜生 ブラダ『……はぁ(ため息)、下品なスラングだわ』 リヒト『若者言葉だっ、つうの』 ブラダ『使えば使うだけバカに見える、魔法の言葉よねー』 ブラダがリヒトのホルスターに手を突っこみ、ルガーP08を取り出す。 ブラダ『はぁん……あいかわらずステキね、アンタのハニー、自動式拳銃ルガーP08! 射手の覚悟をゆらすもの、先達からの前ならえ、かくあるべき模範なんて嘲笑って、銃器として洗練されたこのスレンダーボディ!』 リヒト『ああ、わかったわかった。今さら言わなくても、オレのオンナの良さくらいオレがいちばん知ってるっつーの』 ブラダ『チリさえ嫌う緻密な構造で、すみやかな排莢(はいきょう)にも連射にも、はては量産にも向かない、まるで人の思い通りにならないとんだカワイコちゃん。 でも確実な作動を前提とした超近接戦闘における命中精度は………はぁあん……! 最高射程距離なんて、800メートルよ800メートル!』 リヒト『……聞いちゃいねぇ……。まァなるべく早く整備してくれよ。頼んだぜ』
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