第一章

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(SE)ドアが開く ユリアン『――おや、ディートひとりか。ピンク頭はもう行ったようだな』 ディートレイ『あー、長官や。ごきげんうるわしゅう。リヒトくんは就活してくるんやて』 ユリアン『ニーベルか。任務はふたつ渡したが、そっちを先にやったのか……賢明だな』 ディートレイ『小さい警備会社乗っ取ってどうしますの?』 ユリアン『足掛かりをつくるんだよ、確実な信頼と実績で、急がず焦らず―――天国への、な。4年でできれば上出来だ』 ディートレイ『また大掛かりな……。リヒトくんは正攻法ムリや言うとったけど、大丈夫やろか』 ユリアン『あいつだって、伊達にエースを名乗っているわけではないさ。うまくやるだろう』 ディートレイ『あららら。そういうんは、本人の前で言うもんですよ。あれでも子どもや。喜びますよ』 ユリアン『喜ぶものか、あいつが』 ディートレイ『……リヒトくんが諜報員になったんは、長官のためやありませんか。 あなたの片目を潰したんは自分やって、あの子、』 ユリアン『わたしの“ため”ではない、わたしの“せい”だ。目のひとつやふたつ、親友の忘れ形見に比べたら……』
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