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ところがだ。
「大型の魔物が現れた、ね。まったく……はた迷惑な話だわ」
足止めを喰らって2日。
エリアはすっかり暇を持て余していた。
「王都の近くなのに。こういうことって結構あるんですか?」
「ないこともないけどね。年に何回かは危ない魔物が出るもんだし」
「うわ、それで毎回街道封鎖? タイミング悪く来ちゃったなぁ」
肩を落とすエリアにしかし、宿屋の主人は首を振った。
「街道が封鎖されることはそうそうないよ。街道の警備が強化されて、討伐隊が編成されるくらい。立ち入り禁止区域は決められるけど、普通に歩くにゃ支障ないさ」
「うげ~……じゃあ本当にタイミング悪かったのねあたし」
額に手を当てて憂い、慰めにとふた切れ目のアップルパイを口に入れる。
宿屋の女主人は自分もアップルパイに手を伸ばし、憂いげにため息を吐いた。
「私らも困ってるよ。街道が通れないせいで首都から商品が届かなくてね」
「2日間品物無しってことですか?」
「そうだよ。作物や肉は街でも作ってるからいいけど、魚は届かなくなるだろ。それに果物も。うちも在庫が無くなってきたから、このままじゃいくつかのメニューはやめなきゃだよ」
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