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「ふーん……はっ!」
エリアは皿に残る食べかけのアップルパイを見る。
「大丈夫だよ。リンゴはここで作ってるから、遠慮なく食べな」
「ああ、よかったぁ……」
ホッとしてまた食べ始める。
ここに泊まってからほぼ毎食のように食べている身として、少し不安になったのだった。
「でもそんなに危ない魔物なんですか?」
領主の兵隊は単に街道を封鎖しているだけでもない。
この場合、討伐隊を編成して速やかに駆除に当たるのが常套だ。
大の大人が、それも訓練を受けた兵士が集団でいくのだ。
エリアのような魔道に通じる者が何人いるかは知らないが、魔物の一匹くらいはすぐに討伐できるのではないだろうか。
「あっ、ひょっとして大量発生とか?」
エリアの思いつきに女主人は愛想笑いを返した。
「私も見たわけじゃないけどね。馬鹿でかいグリッチリザードっていう話だよ?」
「グリッチリザード? それってこの周辺に住んでるもんでしたっけ?」
「ないね。本当ならずっと北の方にある岩場に住んでるもんだよ」
「北、北……あっちに見えた山の方ですよね? じゃああの猪みたいに人里に下りてきちゃったわけですか」
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