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店内で指差した方向を見て女主人が頷く。
「そうかもね。つい先日向こうの方で大きな崖崩れが起きたっていうし」
住処が潰れて新しく移動してきた、といったところだろう。
よくある話だ。
「まだるっこしい……。いっそあたしが倒してやろうかしら」
「あら、スゴい自信家だね。女の子が無理しちゃダメだよ?」
「えー、でも女の子って呼ばれる歳でもありませんし」
半ば苦笑いで返す。
子どもっぽく思われることもあるが、もう22歳の大人だ。
「心配しないでも、今日にも討伐するって話だからさ。それまで待ってなよ」
言って、女主人がカップに紅茶を注ぐ。
心地よい香りを嗅ぎながら、エリアは訊ねた。
「兵隊の中に魔道士って何人くらいいるんですか? グリッチリザードって皮膚が硬くて弾力もあるから、剣じゃやりづらいと思いましたけど」
「そうなのかい? 魔道士……10人くらいはいたと思うよ。ああ、そういえば」
「はい?」
「うちの魔道士部隊に小さな女の子の魔道士が1人いるんだよ。まだ子どもなのに健気な娘でね、たしかその娘も討伐に参加するそうだよ」
へぇ、とエリアは感心した。
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