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「よく言うよ。私からすりゃお客さんもまだ子どもだよ」
「あ、そうきます? あたしのお母さんよりおばさんの方が若いですよ」
「ならおばさんはやめないかい」
「はーい、お姉さま」
「はは、口が達者な人だね。アップルパイもうひとつ食べなよ」
「やったー、お姉さま素敵!」
両手で皿を持ち上げてパイの重みを感じた。
フォークを手にエリアは早速ひと口分を分ける。
冷めつつあるが、甘味は衰えていない。
「んー、しあわせ~」
ひと口ひと口をしっかりと味わって感想を述べる。
口の中から出たフォークをアップルパイに入れ、今度は何切れか食べやすいように切り分けだした。
「その子とも一緒に食べたいなぁ。いつには帰ってきます?」
「そうだね……今日の昼頃には出たはずだから、夕暮れ前には来るんじゃないかい」
「夕暮れっていうと、まだ結構時間ありますね。どうしよ、それまで暇だわ」
エリアはカウンター脇を見やる。
各店や畑などの位置が記された、この街の地図が大きく貼られている。
そこらの村よりは大きいが、あいにくこの街は観光する場所が少ない。
元より首都への中継地点として発展した街だからだ。
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