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それが動くたびに常軌を逸した数々の現象が起こった。
そこに規則はなく、たとえまったく同じ条件であろうが、気まぐれのように現象は移ろう。
火と水が混じり合う地に咲く花の上で横たわるそれは、ただ静かに見守り、そこに在ることで森羅万象の調和を保ってきた。
自身の死は調和の消失に直結する。
それにとって調和無き世界は身の毛のよだつそぞろ恐ろしい世界であり、決して赦(ユル)されざるものだった。
だから、滅びるわけにはいかない。
生への執着。
この瞬間に初めて、それは己の中の明確な欲望を感じ取った。
根のように大地に繋がる髪をなびかせ、頭上を仰ぐ。
鈍い緑青(ロクショウ)の色を帯びた巨大な球体があった。
この空間に顕現させたそれの肉体の一部であり、調和を見守る眼でもある。
緑青の周りには、七色の粒子が無数に廻っていた。
精霊。
七色――それぞれの色に対応する七属性が原初の世界を構築した。
ああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ……――
呻きではなく、呼びかけだった。
緑青の球体を廻る精霊が加速する。
いくつかの輪を成し、右に左にと。
別々の回転で七色は混じり合う。
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