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修学旅行の班決めから一週間が経ったある日。
学校から帰ると、いきなり由紀は篤斗の部屋へと乗り込んだ。
「川島くん!入るわよ!」
「もう入ってるじゃん……」
篤斗はベッドの上で漫画を読んでおり、凄く嫌な目をしていたが、そんなものも気にせず由紀は切り出した。
「あんたこの前……。私の言うこと一つ聞くって言ったよね……?」
篤斗は眉をひそめて頭をフル回転させた。
「……言ったっけ……?」
「言ったわよ!私が好きな人を言う代わりに、あんたが一つ私の言うことを聞くって!」
そう言われると、そんな気がしてきた。
しかし、今の感じからして間違いなく鬼畜な命令をしてくるはずだ。
だから篤斗はわざとらしく漫画の続きを読み始めた。
「うわ~!ウソップ頑張れ~!」
「ちょ~わざとらしいんだけど……。今ルフィとエネルしか見えないんだけど……」
顔を近づけて言ってきた由紀に心底嫌な顔をして、篤斗は漫画を閉じて、ベッドに胡座をかいた。
そして、頭を掻きながら不機嫌な声色で言った。
「で、何だよ……」
すると由紀は腕を組んで自信に満ちた顔で堂々と言った。
「写真、撮ってくんない?」
「………はぁ?」
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