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<陸士108公舎・部隊長室>
サイド ゲンヤ・ナカジマ
今、俺はある指令書を持って机の向こう側に直立不動で立っている人物にその指令内容を告げている。
そいつは俺が話しはじめた時は真顔で聞いていたが、指令書の内容を話していくうちにおそらくだが徐々にしかめっつらになっているだろう。
おそらくって言ってもこいつとは少々長い付き合いだからそこから雰囲気でわかる程度だから俺や公舎の奴らぐらいしかそいつの顔の変化はわからんだろう。
なんせそいつの顔は..
「...つうわけで、今の内に身辺整理や挨拶まわりでもしておけよ。」
「・・・ゲンヤ部隊長、その指令は拒否できないのでしょうか?」
「ん?なんでだ?」
「私は陸のニンゲンです。空戦も出来ないうえ魔力量もそれ程高くありません。それならば他にも優秀な人間はいるでしょう。」
それに、とそいつは自分の顔を指差しながら...
「私は‘亜人間’です。ただでさえ、陸の少数の人間とはいえ、受けが悪い…、本局出のやつらには目障りなことこの上ないのでは?」
と、自分の‘狼顔’のことを言ってきた。
「・・・まあ確かにそうかもしれんが、少なからずそこの部隊長陳はそういうのを気にしないやつらだ。そこまで心配しなくてもいい。」
「しかし「それにだ。」?」
「この部隊長殿は戦力としてでわなく、どちらかと言えば新人の陸戦教導員としてお前さんを指名してるんだよ。」
「?それでしたら尚更私より陸戦経験のあるベテランを呼び寄せるべきでは?」
「まあそうあいつにも言ったんだがな、先方の教官殿がお前さんのデバイスの射撃技術を新人に教導してほしいそうだ。なんでも一人の新人がお前さんと一緒の銃型のデバイスらしいんだよ。」
「・・・」
そう言うとそいつは黙りこくって考え込んでいそうな雰囲気をだしはじめた。やれやれ...
「気持ちはわかる、だがこの指令書はかの三提督からの命令書でもある」
「!!」
「まあつまるところ拒否は出来ないんだよ。諦めな。」
そう言うとそいつは他の奴にもわかるくらい眉をひそめた。まあ確かにたかが一部隊に三提督が肩入れしてりゃあ怪しいわな。
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