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「そんなことしかないの?」
「そんなことって…。今からは私の子供が乗るのよ。安全をしっかり確認してもらわないと。本当は、もう2度とあなたに会う気はなかったけど、私をただのお客さんに戻して下さい。」
「分かった…。ごめんね、恵ちゃん。」
「ありがとう。私もう帰るね。」
仁から去り、家へ向かって歩く後ろ姿を、仁は見えなくなるまで見ていた。家まであと300mの所で祐司とセイヤの姿を見つけた。
「ただいま。セイヤ、もうすぐお兄ちゃんになるね。」
「おかえり。恵…。」
「祐司さん、ずっと影でも支えてくれていてありがとう。ありがとう、お嫁さんにしてくれて。ありがとう、この子のお父さんになってくれて。」
「車の整備は高村さんに頼もう。ずっと勝手なことしてて ごめん。」
「もう情報回ったの?(笑)」
「あぁ。でも もうしない。」
「祐司さん、これからの方が、今までよりずっと長くなるから、更によろしくお願いしますよ。」
「そうだね。恵、俺の嫁さんになってくれてありがとな。」
2週間後、恵は2,560gの女の子を出産し、祐司は実里(みのり)と名付けた。
2年後には祐司と血の繋がりを持つ男の子、隆司(りゅうじ)が誕生し賑やかな家庭になる。
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