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恵も当然、ヒロの路上ライブ先がことごとく なくなっていることを気付き始めていた…。
「私が、お金 貸してあげなかったから?」
と不安そうにヒロに言った。
「違うよ。俺が、金持ってないから!!」と笑顔で答えるヒロ。
喧嘩をしても、いつの間にか仲直り。これが いつもの2人だった。
「俺、バイトぐらい始めるからさっ。今まで借りてる金ぐらい、きちんと返すから、もうちょい待ってな。男の方がこんなんじゃ、世の中から馬鹿にされるようなカップルになるよな。恵、ゴメンな。俺が悪いのに、イヤな思いさせて。」
「もういいよ。私もゴメンね。力になってあげられなくて。」
恵の心の中にはヒロに貸すお金はなくて、車を買うお金はあるなんてヒロは知ったら ヒロはどう思うのだろうという 思いがあり、車を買うことは、まだ言わない方がいいと思った。
でも それから 2週間ぐらい後のことだった。
2人は珍しく 一緒に出かけていた。
どこかで見たことのある人が 会釈をしながら、恵に近付いてきた。(誰だったけ??)と思ったが、スーツ姿しか見たことがなかったからというか、2回しか会ったことがない 車屋の店員だった。
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