車に運ばれた出会い

20/31
前へ
/165ページ
次へ
「こんにちは。彼氏とデート?いいの入ったら一緒にドライブするんでしょ?」という店員の言葉を マズイという表情で聞く恵と、何の話?と聞いているヒロの2人の姿を見て、店員も空気を読んだらしく、 「恵さん、また連絡します。」と一人で勝手に喋って 逃げるように2人の前から去って行った。 「ヒロ、ちょっとカフェでも行こう。話したいから。」と恵が言っても、ヒロは無言で、ついてくるだけだった。 カフェの席に着くと、先に口を開いたのはヒロだった。 「車?買うの?」と率直に恵に聞いた。 「分かったよね?でも まだ検討中よ。ローン通るかも分からないし。親に保証人になってもらわなきゃいけないし。ヒロには分からないかもしれないけど、私いつも自転車でしょ?それだと、セイヤのご飯とか小さいのしか買って帰れないし。近い所にしか行けないでしょ?だから、買おうと思ったんだけど、言ってなくてゴメンね。」と言った恵に対して、ヒロは 「俺が頼りないから、言ってもしょうがないと思ったんだろ?」と、冷めたように恵に言った。 ヒロに言われたことは、半分は当たっていたので、恵は何も言い返せなかった。 せっかくのデートが台なし、それに数日が過ぎても ヒロはスネたままだった。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加