第二章

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願いは虚しく、男の子は後ろを振り返った。 ──────ぇ? ドクンと心臓が跳ねる。 目を見開いて、ただ息をのむ。 何で─…?どうしてここにいるの? 男の子は何も動じず、ただ私を見ている。 この距離からでもわかる。 あの自然な髪型といい、あの輪郭。 綺麗な顔立ちで、スラッとした身長。 「───いっく、ん…」 口から漏れた懐かしい名前に、慌てて両手で口を塞ぐ。 この名前、何年ぶりに呼んだだろうか。 学校では名字で呼んでいても、ふいに現れた彼に自然と言葉がでた。 早く、ここから去らなきゃ。 その場から逃げるように走り出す。 会いたくない。 会いたくない。 忘れた気持ちが蘇りそうで、溢れ出しそうで嫌だ。
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