第二章

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何年ぶりだろう…。こんな間近で彼の顔を見たのは。 「久々に見た。お前の顔」 「───…!」 落ち着いた顔で話す日向くんに、ハッとして俯く。 。 「おばさん元気?」 「───…ぅん…」 「ちゃんと寝てる?」 「───…ぅん…」 「ご飯も食べてる?」 「───…ぅん…」 彼は一体、何を言ってるの──? 俯いてた顔をゆっくりとあげる。 「…─やっぱ、無いほうがいい」 「───…ぇ…?」 いわれた言葉が理解てきず、間抜けな声が出てしまう。 彼はしゃがみこんだあと呟いた。 「メガネ、外すなよ?」 掴まれていた右手に軽く重みがかかる。 視線を移した右手には黒縁メガネ。勿論、私のもの。 「じゃあ」 彼は一言そう言い残して去っていった。
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