第三章

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────…いない…。 パーティー会場をぐるッと一周してみたけど、彼の姿はどこにもない。 もしかして、帰っちゃったのかな…? それならそれで話さなくても大丈夫なんじゃ…。 だけど、それじゃお父さんやお母さんが恥をかいちゃうかもしれないんだよね…。 途方に暮れているとふと頭に浮かんだのは中庭。 もしかしたら、そこにいるのかもしれない。 ゆっくりとテラスに向かい、中庭へと繋がる階段を下りていく。 風がスゥーと肌に当たる。 空には無数の星。 中庭には街頭がチラホラ。 下に降りて辺りをキョロキョロと伺う。 ────…いた…。 中庭の隅のほうで壁にもたれかかりながら満天の星空を眺めていた彼。 近づこうか近づかないか迷ったものの、勇気をだしてそっと近づいた。 「…何か用?」
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