阿求と夏祭り

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賢「これだけあれば十分か」 阿「買い込みましたね……」 酒とつまみを購入した俺達はいい場所が無いかを探してさ迷っていた。 因みに仕入先は俺の店だ。 缶チューハイ10本なんて買いすぎと思わないのは俺だけじゃないはず……。 賢「さて、後は場所だな」 阿「どうしましょう? めぼしい所は粗方埋まっていましたし……」 そうなのだ。 花火がよく見えそうな場所には既に先客が居るというパターンが先程から何度も繰り返されている。 幻想郷に来て日が浅い俺と、殆ど屋敷内からでしか見たことがない阿求とではなかなか良いポジションが狙えないのだ。 最悪、稗田邸で見るという手段もあるが……。 賢「なぁ、いっそ阿求の部屋で見るってのはどうだ?」 阿「それも良いですけど……。 屋敷には使用人さん達もいらっしゃいますから二人きりとは言えません」 若干拗ねたように呟く阿求。 そうなんだよな……。 位置的には絶好の場所なのだが、何時使用人さんが入ってくるか分からないと言うリスクがある。 決して疚しいことをしようという気は無いのだが折角のデートだ、出来る限り邪魔はされたくない。 賢「万策つきたか……」 阿「どうしましょう……」 ?「よ、お二人さん! どうしたの?こんな所で突っ立っちゃって」 「「え?」」 どうしたものかと立ち尽くしていると、不意に声を掛けられた。 同時に振り向くと其処には声の主、妹紅が満面の笑みを浮かべて立っていた。 賢「よぉ妹紅、こんばんは」 阿「妹紅さん、こんばんは」 妹「はいこんばんは。 それで、一体何があったの?」 賢「実は、花火がよく見える場所を探しているんだがどこもかしこも先客が居てな。 困ってるんだ」 俺は簡単に事情を説明すると、妹紅は頬に手をおいて考える素振りを見せる。 妹「なる程ね……。 だったら取って置きの場所があるよ。 滅多に人が近付かない穴場なんだ」 「「本当か(ですか)!?」」 二人同時に驚きの声を上げると、妹紅は苦笑しながら口を開いた。 妹「息ピッタリだね。 それはさて置き、案内してあげるから着いて来な。 里の外にある小さな丘なんだけど、良いよね?」 「「勿論だ(です)♪」」 この際場所など関係無い。 二人きりになれるという事実が嬉しかった。 こうして妹紅に案内され、俺達は里の外へと歩き出した。
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