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俺達は妹紅に連れられて里の外れにある小高い丘へとやってきた。
なる程、確かに見晴らしが良いな。
しかし、何故人が近寄らないんだろう?
何か理由でもあるんだろうか……。
賢「なぁ妹紅。
何故此処には人が近付かないんだ?」
疑問を投げかけると妹紅は直ぐに口を開いた。
妹「答えは簡単。
此処は妖怪の巣が近いんだよ。
最も、今は退治されて誰も住んでいないんだけどね。
それでも一般人にとっては恐怖の対象なんだろう、あまり近付きたがらないんだよ」
賢「なる程、そう言う事ね」
大体把握できた俺は納得したように頷く。
阿求も合点がいったのか小さく頷いている。
阿「それなら安心して二人きりになれますね♪」
賢「まぁなw」
妹「はいはい御馳走様w
それじゃあ私は行くよ。
お邪魔虫には成りたくないしw」
賢「Thank youな、妹紅」
阿「妹紅さん、ありがとうございます♪」
別れの挨拶を交わすと、妹紅は颯爽と去っていった。
その後ろ姿を見送った俺達は早速シートを広げ、座り込む。
その直後、花火が上がり始めた。
丁度良いタイミングだったみたいだな。
買ってきた袋から酒を二本取り出し、開けた後に二人で乾杯する。
「「乾杯」」
一口ずつ飲んだ後、二人して空を見上げ花火を堪能する。
現世に居た頃は家の窓から小さく見えるものを見るだけだったから、会場の、しかもこんなに間近で見るのなんて本当に数年ぶりだ。
高校時代は良く友人達と会場まで足を運び、馬鹿騒ぎしながら見ていたっけ。
あの頃が一番楽しかったな……。
過去に思いを馳せ、感傷に浸りながら飲んでいると不意に視線を感じた。
何だろうと視線を辿ると、阿求が此方を心配そうに見ているのが見えた。
賢「ん……どうかしたのか?」
阿「いえ、賢斗さんが寂しそうにしていたものですから……」
そう言って手を握りながら寄り添ってくる阿求。
俺、そんな顔してたか?
賢「そんなに寂しそうに見えたか?」
阿「何となく、ですけどそう見えました」
賢「そっか。
ただ現世に居た頃を思い出していただけなんだがなw」
苦笑いしながらそう答える俺を見て、阿求は更に身を寄せてきた。
いや、近すぎるよwww
最早抱きついていると言っても過言では無いほどだ。
賢「えっと……どうしたんだ?
俺、何か変なこと言ったか?」
若干戸惑いながら口を開く。
いや、嬉しいんだがなんか落ち着かないというか……。
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