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賢「それじゃあ行こうか?」
阿「はい♪」
手を差し出すと、阿求は嬉しそうに飛びついてきた。
その手をしっかり握り、俺達は歩き出す。
里への道のりをのんびり談笑しながら歩いていく。
これからも、彼女と共にたくさん思い出を作りたい。
彼女の涙は見たくない。
笑顔で居てほしい。
だから俺は、阿求が笑顔でいられるならどんな事でもしたい。してやりたい。
そう思うと、握っていた手に力が入る。
それに気がつくと、阿求はニッコリ微笑みながら手を握り返してくれた。
阿「どうかしたんですか?」
賢「いや……何でもないよ」
そう返し笑顔を向けると、阿求は首を傾げながらも再び前を向く。
阿「因みに、今日はこのまま賢斗さんのお家にお世話になりますので宜しくお願いしますね♪」
賢「……はい!?」
突然の爆弾発言に盛大にキョドってしまった。
何この急展開。
未だに狼狽えていると阿求は悪戯っぽい笑みを浮かべながら口を開いた。
阿「屋敷の者達には既に伝えてありますのでご心配なく♪」
賢「いやいや、そう言う問題じゃ……」
阿「どうしても……駄目ですか?」
そう言いながら涙目になりながら俺を上目遣いに見てくる。
そんな風に言われたら断れないじゃないか!!
こう言うのを惚れた弱みって言うのかね……。
仕方ない、覚悟決めますか。
賢「……分かったよ。
ぶっちゃけ俺ももう少し一緒に居たいと思ってたし」
阿「なら問題ありませんね。
そうと決まれば早く帰りましょう♪」
俺の本音が嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべる阿求。
その様子を見ながら自然と笑みを浮かべる俺。
やれやれ、かなわないな。
今夜は眠れそうにないな。
そんな事を考えながら、俺達は家路についたのだった。
~完~
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