咲希と香澄

5/5
前へ
/627ページ
次へ
「え…って…咲希も好きな人いるんでしょ?誰かは教えてくれなさそうだから、とりあえず頑張れって言っておく!」 「あ、あぁ…」 昔からずっと香澄が好きなんだよ。 こんな風に応援されて改めて気づかされたけど、本当に私のことなんて眼中にないんだなぁ…。 「咲希…?どうしたの?」 「…んーん、何もない。頑張るよ。」 香澄のこと諦められるように。 もし、いつか香澄が誰かと結婚するとき、心からおめでとうって言えるように。 「よーし、頑張ろーね!とりあえず、今度けんちゃんと話そ?このまま気まずくなるのヤだし!」 「私と健祐は大丈夫だよ。気まずくなんてならないから。それより2人でどっか行ってきなよ。ね?」 「あ…う、うん!どこが良いかなー?」 小学生の頃からずっと見てきた。 逆上がりができるようになったのも、はじめて彼氏ができたのも、彼氏に振られて落ち込んだときも、健祐を意識し始めた頃も、ずっと隣で見てきた。 ずっとずっと、好きだった。 「どこでもいいんじゃない?…あ、健祐の好きなチームの野球のチケットあるけど…いる?」 「え、くれるの?!」 「うん。バイト先のお客さんから貰ってさ。2枚あるから行ってきなよ。」 「ありがとう、咲希!大好きっ!」 「全く…大袈裟だなー。」 この笑顔のために私の気持ちは絶対に言わない。 「えへへ。ありがとうっ」 「どういたしまして。」 幸せになってね、香澄。 私の大切な友だち。               END
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1016人が本棚に入れています
本棚に追加