1016人が本棚に入れています
本棚に追加
「え…って…咲希も好きな人いるんでしょ?誰かは教えてくれなさそうだから、とりあえず頑張れって言っておく!」
「あ、あぁ…」
昔からずっと香澄が好きなんだよ。
こんな風に応援されて改めて気づかされたけど、本当に私のことなんて眼中にないんだなぁ…。
「咲希…?どうしたの?」
「…んーん、何もない。頑張るよ。」
香澄のこと諦められるように。
もし、いつか香澄が誰かと結婚するとき、心からおめでとうって言えるように。
「よーし、頑張ろーね!とりあえず、今度けんちゃんと話そ?このまま気まずくなるのヤだし!」
「私と健祐は大丈夫だよ。気まずくなんてならないから。それより2人でどっか行ってきなよ。ね?」
「あ…う、うん!どこが良いかなー?」
小学生の頃からずっと見てきた。
逆上がりができるようになったのも、はじめて彼氏ができたのも、彼氏に振られて落ち込んだときも、健祐を意識し始めた頃も、ずっと隣で見てきた。
ずっとずっと、好きだった。
「どこでもいいんじゃない?…あ、健祐の好きなチームの野球のチケットあるけど…いる?」
「え、くれるの?!」
「うん。バイト先のお客さんから貰ってさ。2枚あるから行ってきなよ。」
「ありがとう、咲希!大好きっ!」
「全く…大袈裟だなー。」
この笑顔のために私の気持ちは絶対に言わない。
「えへへ。ありがとうっ」
「どういたしまして。」
幸せになってね、香澄。
私の大切な友だち。
END
最初のコメントを投稿しよう!