第四章

2/52
15136人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
《アダムとイヴの林檎の木》  王宮の図書室でそんなタイトルの本を見付けたのは、クソ王子との決闘から一日経った日、つまり昨日だった。今日はあの日から二日経ったこの世界で言う青の月の第三火日(かじつ)らしい。  この世界と日本の暦はほぼ一緒なので覚えやすい。だからと言って全部覚えたわけじゃないけど。そんなことはどうだっていい。  問題は何故あんなタイトルの本がこの世界の図書室にあるのかということと、俺が順調にハーレムを形成しつつあるように見えて実はそうでもないということだ。 『二つ目はいらないのではないかの……?』 『いや、むしろ俺からしたら二つ目の方が重要だ』 『わらわからしたら二つ目は真にどうでもよいのじゃが』 『俺のこれからの生活に関わってくる問題だぞ』 『ええい、話が進まん。今はハーレム云々は何処かに捨てて、本のことを考えんかい』 『なんだと! その言い草はなんだ!』  そんな感じの不毛な言い争いを続けている俺が今いる部屋は王宮の図書室……ではなく俺の部屋。今はそこに勇者パーティ勢揃いだ(勿論俺のパーティだけ)。  実際は本のことを考える暇なんて今の状況にはこれっぽっちも無く、何故かと言うとそれはイリアが無駄に真面目な顔をしていることに関係しちゃったりしてる。  
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!