第二章

2/28
15136人が本棚に入れています
本棚に追加
/198ページ
 魔王と対面してから数時間。今俺は用意された部屋で思考に耽っていた。  用意された部屋はそこそこ上等なのだろうが、光の部屋に比べると広さは半分くらいだし家具の高級感も幾分か落ちている。まあ俺はそんなに気にしないのだが、俺の脳内に巣くう寄生虫紛いの女神様は相当ご立腹のようだった。 『何故同じ勇者なのにこれ程の扱いの差を受けねばならんのじゃ……!? 所詮人間の王が欲しがっていたのは強大な力ではなく、民の希望となる善良な弱者か!』  と、頭の中で怒りをばらまいている。元々人間に良い感情を抱いていなかったらしいディアナは今回のクソオヤジの一件で人間にキレたらしい。じゃあなんで人間の味方をしていたのかという話になるが、別に人間に加担していた訳ではなく決められた場所で力を求める者に力を与えていただけだとか。  だから、時には魔物(というよりは高い知能を持つ魔族)にも力を与えていたらしいし、魔王にだって力を与えたとか。  ただ、今回の魔王のイリアには今日初めて会ったらしい。  そもそもディアナいわく魔王という存在は実際には魔物の王という存在ではなく、最も強い力を持つ魔族の称号のようなモノらしい。故に魔王が魔物を放つとか増やすとか操るとかする訳ではなく、魔物は勝手に増えて勝手に暴れているらしい。  
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!