篝の思考

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「さっきは何を考えてたんだ?」 俺が問いかけると、秋名はううん、と歯切れ悪く答えた。 俺が通っていた高校に編入してきた小萩 秋名は何だかんだと気が合って、今まで付き合いがある。 いつもはきっちり切っている黒髪は最近のびっぱなしで、その瞳は琥珀色だ。真面目そうな顔なのだが、実のところかなりの天然で大分ぬけたところがある。 また、たまにどこか遠くを見ている時は、まるでそこに居ないような雰囲気ですらあるのは 「まったく。……キリッとしてりゃあモテるだろーになぁー」 はぁ、とわざとらしいため息をつくと秋名は苦笑した。 「ちょっと……思い出してたんだよ。小さい頃の……」 答える秋名はどこか遠い。きっとこちらではなく、その時の景色を見ているのだろう。コイツにはそういう事がよくあった。とかく、幻に近い精神の持ち主なのだ。
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