46人が本棚に入れています
本棚に追加
「亮君。サンタは、居るよ。」
彼が上着のファスナーを上げきったタイミングで、私は告げた。
「おじさんまで何言ってるの。」
呆れた様に彼は私に返した。
だけど、私も引かない。
「サンタは居る、信じていればね。だけど君みたいに信じてくれなくなった時、サンタは消えてしまうんだ。だから、その存在を信じない君の元には、望んだ物が届かない。」
「えっ……。」
私の言葉に、彼は再び驚いた。
そしてこう続ける。
「何で?」
よかった、サンタに少しだけ興味が湧いた様だ。
子供らしい質問に、安心して顔が緩む。
「だってね、サンタは人間ではないから。サンタの体は、子供たちの“サンタを信じる気持ち”で出来ているからだよ。」
そして、私は彼にそう教えた。
最初のコメントを投稿しよう!