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「そう言えば昔、こんな子がいたなぁ。」
陽の当たる縁側。
そこに腰掛け、中庭の柿の熟れた木を見ながら、星野空の隣で温かい茶をズズ……と啜って老人が言った。
頭に被った薄い茶色の毛糸の帽子と、同じ色のカーディガンは先程、この屋敷の女主人、空から贈られた物だ。
「どんな子供だったんですか?」
老人の方に顔を向けて、そう空は聞き返す。
すると、
「うん……。」
と、ゆっくり間を置く老人。
「三十年程前、だったかな。ある少年に出会ったんだ。その子は……サンタクロースを信じていなくてね。」
左手で持った湯飲みを右手で擦りながら、老人は語り出した……────。
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