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私の声に、彼は目を丸くしてこちらを見た。
「だっ、誰!?」
怯えたその声はいかにも子供らしい。
知らない人に付いて行かない様に、どうやらしっかり言われている様だ。
さて、何と言ったら怪しまれないだろうか?
しばらく考えて、
「私は、サンタです。」
こう答えた。
「嘘つけ!! おじさんの何処がサンタなんだよ!!」
一瞬、鳩が豆鉄砲を喰らった顔を見せた彼だったが、直ぐに我に返り口で激しく私を叩いた。
それもそうだ。
彼が言うのも無理はない。
私のなりは茶色のコートに茶色の中折れ帽。
手に持ったのは革の鞄で、白い髭も蓄えてはいない。
サンタと同じは、襟足に見えた若白髪だけだ。
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