作用

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まるでかかあ天下。僕の隣に座る息子さんが慌てて執り成す。 「いやぁ、自殺なんて、成り行きでやらなくもなるわけで。いや、元々そういうつもりだったというわけでもないんだけれど、成り行きでやらないものは成り行きでやったりもするという、あれ、なんだろ、おれなに話してんだか分からなくなってきたよ」 「要するに行雲流水が如く。やりたいことやっちまえというわけだ」 要することが出来ているんだか、出来ていないんだか分からないヤッチャンとやらのコメントに、女は「そんなかんじね」と頷く。僕はケータイに「三人で?」と打つと、息子役は首を横に振って応えた。 「五人だよ。君を含めて」 僕は頭上に疑問符を浮かばせて固まった。僕が、数に含まれているだって、そんな強引な話はない。それに、僕を含めたとしても、あと一人足りない。一、二、三、四人。数えなくても四人しかいないのは明白だ。七輪が五人目だとでもいうのか。口を噤(つぐ)んで、じっと隣の青年を見ていると、彼はにっこり笑った。 「そういえば自己紹介がまだだったね。少し急がなきゃならないな」 「そうだな。俺は八幡。ヤッチャンとか言われてるからヤが着くのは分かってただろう。で、そこのガキが菱沼。のこりの女が柴。あと少しもないぞ。シートベルトはしめたか」 なにが、と僕が思った瞬間、ボンネットに衝撃が走った。八幡はすぐにブレーキを踏んで、ミラーを覗く。僕は口を開いたまま立ち尽くす、いや、座り尽くすのみだった。
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