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俺の目の前に立つ長身の男性は、腰を曲げて俺と目の高さを合わせて微笑んだ。
冷たいのに暖かい…
その綺麗な顔によく似合う金の瞳に、吸い込まれそうになる。
俺の頭に手を置くと、クシャリと髪を撫でた。
その手があまりにも優しくて、思わず目を細めてしまう。
すると、何故か固まる美形さんに首を傾げると、
慌てたように 『なんでもねぇ』と髪をぐちゃぐちゃにされた。
『……誰?』
『…………覚えて…ねぇのかよ…』
『?』
何故か俺の頭に手を置いたまま項垂れる美形さんに、更に首を傾げる。
………何処かであった?
暫く考えて、不意に脳裏に浮かんだ言葉…
《まるで宝石箱みたいだね》
…………あれ?何処かで…
あーとか、う゛ーとか唸って考える俺を、不安そうに見上げる美形さん。
…金の瞳
徐に、目の前にある美形さんの目元に手を伸ばす。
頭の中を何度も回る台詞…
あ…
『………思い…だしたか?』
『……前に…ここで…』
『あぁ』
俺が思い出したのが嬉しいのか、顔を綻ばす。その笑顔に鼓動が跳ねた。
…あれ?何今の…
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