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『…そんなに前から。何で言わなかったのさ』
不貞腐れたようにぎゅっと抱き締めるあきちゃんに、
心が温かく感じて笑みがもれた。
…感情なんかいらない。
だって、あきちゃんを心配させてしまうから…
…來臥を思うと、
心が苦しくなるから。
…俺がいると
皆が不幸になるから。
なら…
手放せばいい。
何も感じないように…
そう思うと自然に笑みが口元に浮かび、瞳を閉じた。
『大丈夫だよ。だって俺にはあきちゃん達がいるから。
俺、アイツがいなくても案外平気なのかもね。
ふふっ…ねぇ…あきちゃん。久しぶりに喧嘩したら…疲れちゃった…』
そのままふっと力が抜けてあきちゃんに凭れかかった。
あきちゃんは俺の心の傷に気づいて、ぎゅっと抱き締めてくれた。
………でもね?
…それを、來臥が見ていたなんて知らなかったんだ。
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