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『何、とうとう捨てられたの?可哀想な子犬ちゃん』
溜まり場のカウンターの端の椅子に腰かけて、いつの間にかぼーっとしていたらしい俺は…
艶やかな色気を帯びた女性の声に、顔を上げた。
そこにいたのは…
『あら、違ったわね。同情と愛情を間違えていた哀れな化け物かしら…クス』
綺麗な長い髪を翻して、蔑んだ見下す瞳で俺を嘲笑する…
女の人。
…………來臥と奥の部屋から出てきた。
『あの子、最近よく来てるわよ。はじめは白夜をだせ、なんて怒ってたけど今じゃあライ目当てじゃないかしら。
昨日だって奥の部屋で2人で何してたのかしらね』
彼女の目に宿るのは、
………嫉妬。
『ライもあんなのどこがいいのかしら。私よりセックスが上手いとでもいうのかしら』
………ねぇ、それは誰に対して?
來臥に対して?
どうして?
どうして、來臥に嫉妬するの?
愛情があるんじゃないの?
罪悪感とか感じないの?
ずっと、気づかれないと思っているの?
ねぇ、舞ちゃん。
あきちゃんが可哀想だよ…
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