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『蘭?』
『おー!大丈夫か?白夜。肋やったんだって?お前小さいんだから無理すんなよ』
『ちびちゃん!お帰りー!』
いきなり俺の回りを囲むようにたちはだかる人達で、舞ちゃんとあきちゃんが視界から消えた。
それにほっと息をはくと、俺を人垣から救い出して抱き締める温もりに…
やっと、思考が戻ってきた。
『……いーちゃん?』
『無理するな…俺と帰るか?』
いーちゃんを見上げてから、その言葉の意味に気づいた。
俺を睨むようにみつめる鋭い視線。
その隣には…
まるで、
そこにいるのが当然のように抱きつく…
金髪の少年。
そこは、俺の場所じゃないの?
『……………大丈夫だよ、いーちゃん。離して?
…一人で帰れるから』
すーっと、心が冷えていくのがわかった。
渋るいーちゃんの腕の中から抜け出すと、文句をいう他のお兄ちゃん達にまた来るから…と、笑顔でその場を離れた。
………何も感じなくなってきた。
当たり前か…一年もたてば…
自嘲気味に笑みが漏れた。
『…おい』
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